手水の湧き水に癒される夏詣り。
8月は夏遊びより、日々の感謝を思い出しましょう
暦の上では秋の始まりを指す立秋。立秋は昔の日本の気候にはぴったりでしたが、最近ではまだまだこれから暑さが本格化して行くのになぜ?と思われがちです。またこの時期は夏休みとお盆休みが重なるせいで余暇に精を出し、本来すべきことを見失いがちですが昔から継続して伝承されてきたのは先祖供養と日々への感謝でした。
立秋の期間は「涼しくなってくる頃、家族みんなで集まって亡くなった親族を偲び、近況報告をして生きている事への感謝をし、英気を養いまた新しくリスタートする」決意表明の期間。
そんな昔の風習を私達は知らず知らずのうちに忘れていますが、こういう文化風習を取り入れて生きていけばきっと人本来の生き方ができて幸せになれると思います。
暦の上では秋でも、まだまだ暑い処暑(しょしょ)
8月も中旬を越えると処暑に入ります。実際には残暑厳しく日中はまだまだ蒸し暑い日が続きますが、朝晩は涼しく過ごしやすくなる頃です。稲荷山の眼力さん一帯は湿地帯ですので朝晩はかなり涼しく、早朝からお詣りにくる方もいらっしゃいます。
またこの時期は台風が多くくることでも知られています。農家にとって三大厄日の一つである二百十日(にひゃくとおか)と呼ばれる日は、その昔、台風を予測できなかった時代に立春から数えて210日目にあたる日は台風がくる確率が高かったことから設定されたそうです。現代ではこれが8月の末日に当たります。翌、9月1日が防災の日なのも納得です。
色どり鮮やかな夏の神社
何と言っても伏見稲荷の夏詣りの見どころはこの鮮やかな色どりでしょう。澄み切った青空に緑の木立、その前に悠然と建つ朱塗りの鳥居。この日本古来の三原色は私たちの魂を呼び起こしてくれます。そこに神社仏閣の木目としっくいの白が混じると一層わびさび感が増します。
暑い暑いと汗をぬぐいながらも、この景色の中に身を投じればきっと誰でも「観光ではなく信仰」に来ていると実感することでしょう。
京都は盆地の地形から夏は蒸し暑いと言われます。実際大阪や滋賀と比較しても毎日1℃ほど高いです。しかししんどい思いをしてわざわざお詣りに来る人にこそ、神様はご利益をくださるのも事実。この日もワイシャツにスーツ姿の男性がお山を一周している姿を見かけました。ジャケットに汗がにじんでいるのが遠くからでも判りましたが、その人は木陰で休むこともなくもくもくと一つずつお社を参拝していました。この人が一周回り終えたときに振り返るお山は、どれほどの絶景に見えるのだろうと思います。
前日に雨が降ったせいで山の中腹にある三徳亭の上の展望台からは京都府の遠くの街まで見えます。場所によってセミの声と秋の虫が別々に鳴いているのが聞こえます。それに混ざって山のふもとにある高校野球部の練習の音も聞こえて来ます。(来年は甲子園を目指せるかなぁ?)それぞれの夏の思い出を巡らせながら、私自身もこの夏はどれだけ成長できたかと振り返ります。
流れ落ちる汗を去年この記事でおすすめした(下にあります)ウェットペーパーで何度も何度もぬぐいながら、眼力さんに到着。ここは下と違いひんやりと涼しく、居心地の良さを感じます。この日も拝殿にはたくさんのろうそくがあげられており、暑い日でも義理を欠かすことなく参拝者が訪れているのを感じることができます。
この年も外国人が選ぶ日本の観光地に選ばれた伏見稲荷大社。連続で一位になり、相変わらず外国人観光客は多いですが夏は全体的に客足が減るので眼力さんの拝殿を独り占めできます。10分くらい誰もお参りに来ないときもあるので眼力さんに長く相談ごとをしたい方は8月の参拝がお勧めです。
スズメバチが怖いのですが…
8月も後半になると出てくるのがスズメバチ。稲荷山も例外ではありません。月参りの方からメールを頂戴しました。
はじめまして。
いつもこちらのHPを楽しく拝見しております。
今年の1月に初めて伏見稲荷を訪れご縁を頂き、眼力さんにもとてもお世話になっています。
月参りをしているのですが7月は家庭の事情で行けなかったので、今月こそお参りしたいと思っています。
いつも稲荷山を一周するのですが、今の時期はスズメバチの危険性は考慮すべきでしょうか? 朝早くに行って清々しい空気を感じながらお山に登るのがすごく好きなんです。
こんな質問で申し訳ございません。
じゅんこ
■回答
私自身は二十年以上通っておりますが幸い今までにスズメバチに遭遇したことはありません。しかしお店に電話で確認したところ、まれに巣を作っていることがあるようで、定期的に守衛さんが見回りをしてくれているそうです。巣を見つけたらすぐに駆除をしているので今のところ被害は出たことはないとのことです。
とはいえ、用心するに越したことはございませんので以下のような装備でお参りいただくのが賢明かと思われます。夏の稲荷山一周はなかなか大変かと思いますのでどうぞ水筒などをご持参ください。タオルも必要です。
1)蜂の攻撃を受けやすい黒い服は避け、白や黄色などの明るい色を着る。
2)髪の毛が長い人は帽子で髪の毛を隠す。
3)香水や整髪料など香りの強いものはつけない。
この度は貴重なご質問をいただき有難うございました。気を付けてご参拝ください。